こんにちは。ほんのダイアリー管理人の本野まおです。
今年もやってきました。にんにくを植える時期が!毎年収穫したにんにくから、大きめのものだけ選んで種にするところから植え付けまでを実体験や失敗談も交えて紹介していきます。
目次
- にんにく基礎データ
- 地域別カレンダー(植え付け〜収穫)
- 品種と種球の選び方
- 畑づくり(pH・土壌改良・畝立て)
- 植え付け手順(深さ・間隔・向き)
- 管理カレンダー(追肥・水やり・除草・マルチ)
- 病害虫と対策(さび病・ネダニ等)
- 収穫の見極め・乾燥(キュアリング)
- 保存方法(家庭向け・長期保存の分岐)
- よくある失敗Q&A
- 1ページまとめ(チェックリスト)
にんにく基礎データ
- 学名:Allium sativum
- 分類:ヒガンバナ科ネギ属(旧ユリ科)
- 栽培型:秋植え→翌初夏収穫(日本の一般的作型)うちもここです。10~11月上旬までに植え終わるようにしています。
- 耐寒性:強い(冬越しOK)。ただし寒風・乾燥に弱い芽出し直後はマルチや敷き藁で保護。もみ殻もOK!もみ殻は知り合いのコメ農家さんから頂いています。
- 日照:日当たり必須(6時間以上)
- 連作:不可(3〜4年あける)。同じネギ属の後作も避ける。とありますが畑もそんなに広くないしという方は連作しても大丈夫。(うちも連作してますが、そこまで悪いものはできてません)できれば、連作は避けた方が無難ではあります。
地域別カレンダー(植え付け〜収穫)
迷ったら「地域の平均初霜日から逆算して、植え付け後4〜6週間で根と葉を安定」を目安に。
地域 | 植え付け | 芽出し | 越冬 | 追肥 | 収穫 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
北海道・東北 | 9月下旬〜10月上旬 | 10月 | 12〜2月 | 2月下旬・4月 | 6月下旬〜7月 | 早霜前に活着を優先。寒風対策を厚めに |
関東・甲信 | 10月上旬〜下旬 | 10〜11月 | 12〜2月 | 2月・3月末〜4月 | 6月中下旬 | 秋の高温年は下旬寄りに |
北陸・東海 | 10月上旬〜中旬 | 10〜11月 | 12〜2月 | 2月・4月 | 6月中下旬 | 多湿地域は畝高め |
近畿・中国 | 10月中旬〜下旬 | 10〜11月 | 12〜2月 | 2月・4月 | 6月中旬〜下旬 | 冬の過湿根腐れに注意 |
四国・九州 | 10月中旬〜11月上旬 | 11月 | 12〜2月 | 1月末〜2月・3月末 | 6月上中旬 | 暖地は早植えし過ぎない(分球不良の原因) |
沖縄・超暖地 | 11月上旬〜中旬 | 11〜12月 | 12〜2月 | 1月・3月 | 5月下旬〜6月上旬 | **冷蔵庫前処理(2〜4週間/5℃)**で分球促進が有効な場合あり |
※ その年の気温次第で1〜2週間前後します。
品種と種球の選び方
品種も色々とありますよね。私たちはホワイト6片、赤にんにく(鹿児島ではよく見る品種)、ジャンボにんにくを毎年植えています。
- ホワイト系(福地ホワイト六片 など):大粒・風味強。寒冷地〜中間地向き
- 嘉定系・上海早生など(暖地系):暖地向けで分球安定
- 黒にんにく用途:糖度・水分のバランスが良い大玉選抜が人気
- 種球ポイント:
- 病斑・カビ・ぶよぶよ個体は避ける(大丈夫だと思って植えると土の中で腐っていたりします。)
- 外皮が締まって重いものを選ぶ
- 1片重いほど大玉になりやすい(ただし過肥厳禁)
※ 食用球を流用する場合は病害持ち込みリスク。できれば種子用認定の種球推奨。
あとはネットで種子用にんにくもあるので、買ってみても良いと思いますが、うちは去年ネット購入した種子用にんにくの状態が悪くて、ほどんど捨ててしまいました。大丈夫そうなものを選んで植えてみましたが、ここでも半分以上のにんにくが芽が出ず土の中で腐れてしまい、掘りなおして捨てた経験があります。その時はまた別のお店から種子用にんにくを購入して植えなおしました。
ネットで買うのはちょっとな・・・。という方はホームセンターや種苗店から購入すると安心です。
畑づくり(pH・土壌改良・畝立て)
- pH目安:6.0〜6.8(弱酸性)
- 土質:水はけ良く、有機質に富む。粘土質は完熟堆肥+もみ殻・パーライトで改善。
- 元肥(10㎡目安)
- 完熟堆肥10〜15kg
- 緩効性化成(8-8-8目安)1.0〜1.5kg、またはぼかし肥
- 生ゴミ堆肥・未熟堆肥は禁物(病害・ガス障害)
- 畝:高さ15〜20cm、幅60〜70cm。黒マルチが失敗減(発根促進・雑草・泥はね防止)
植え付け手順(深さ・間隔・向き)の前に消毒。
植える前にまずはにんにくの消毒をします。(詳しくはにんにく農家さんのブログや動画を参考にしてください。プロは違います)ここからは「うちではこうやってるよ~」という感じでまとめます。
にんにくは植える前に消毒する!
まずは植え付けの前に消毒をしっかりします。消毒はガードホープ(青い液体)を500倍液に30分~2時間漬け込みます。うちでは40Lほど入る桶にガードホープ液を作って漬け込んでいます。そのあとベンレートT水和剤を後ろの表示を見ながら、適量をまぶしていきます。
重さに対して粉の量も変わるため、にんにく消毒の前に、にんにくネットの重さをはかってノートに書いておくと安心です。
私は赤いネットの白いひもに、にんにくの種類と個数、キロ数を書いたマスキングテープを貼り付けています。こうすると種類別に分けることができるからです。
ここからが植え付け本番です。
- 分球:球から1片ずつばらす(外皮は軽く残す)
- 向き:尖った方を上に、平たい根盤を下に
- 深さ:覆土込み3〜5cm
- 間隔:株間15cm、条間25〜30cm(プランターは15×20cm基準)
- かるく鎮圧し、たっぷり潅水(以降は過湿NG)
- 敷き藁orマルチで冬越し対策
暖地での“冷蔵庫前処理”
- 植え付け1ヶ月前〜2週間前、5℃前後で保冷。高温年の分球促進に効果的。
管理カレンダー(追肥・水やり・除草・マルチ)
- 水やり:基本「乾いたら与える」。過湿は根腐れ・病害の元。冬の潅水は控えめ
- 追肥:
- 1回目:越冬明け(1月末〜2月) 窒素中心に少量(10㎡あたり化成200〜300g)
- 2回目:鱗片肥大期(3〜4月) 同量(生育見て増減)
- ※やり過ぎは軟弱徒長・病気・貯蔵性低下
- 除草:立ち上がりが遅く負けやすい。マルチ+こまめな手取り
- 芽(スケープ):
- 品種によるが、抽苔したら早めに摘む→球の肥大を優先(※ニンニクの芽は食用に)
病害虫と対策(さび病・ネダニ等)
- さび病:葉に橙〜褐色の斑点。多湿・過密・窒素過多で発生しやすい
- 対策:風通し・適正肥培・畝高/罹患葉は除去
- 灰色かび・白色腐敗:低温多湿・排水不良で
- 対策:排水改善・輪作・健全種球
- ネダニ・センチュウ:貯蔵中の腐敗や生育不良
- 対策:種球の消毒・健全選抜、連作回避、貯蔵温度管理
- アザミウマ・ヨトウ:乾燥期や新葉食害
- 対策:被害葉除去・物理防除(防虫ネット)・天敵活用
化学防除は地域の防除暦・ラベルに厳守。家庭菜園は耕種的対策が基本です。
収穫の見極め・乾燥(キュアリング)
- 収穫サイン:葉の6〜7割が黄化・倒伏/外皮が締まって玉が太る
- 掘り取り:晴天続きに株元を持って引き抜く(固い場合はフォークで優しく)
- 土落とし:根土を軽く払い、茎葉は付けたまま
- 乾燥(キュアリング):
- 風通しの良い日陰で2〜3週間吊り干し
- 直射日光は禁物(内部温度上昇で劣化)
- 仕上げ:外皮1〜2枚を整え、根と葉を3〜5cm残して切る(編んで吊るしも◎)
保存方法(家庭向け・長期保存の分岐)
- 短期(〜1〜2ヶ月):
- 風通し良い冷暗所でネット吊り、新聞紙包み
- 中期(〜3〜6ヶ月):
- 15〜20℃・低湿度で保管(結露厳禁)
- 長期:
- 0〜2℃の冷蔵・冷風乾燥が理想(家庭では難しい)
- 冷凍:丸/スライス/みじんで小分け(香りはやや低下)
- 加工:オイル・醤油・味噌漬け等は衛生管理と保存性に注意
よくある失敗Q&A
Q1. 分球しない/一玉になってしまう
A. 植え付け遅れ・高温秋・前処理不足が原因。暖地や高温年は「冷蔵庫前処理(5℃×2〜4週間)」で改善。
Q2. 冬に葉が霜で傷む
A. 黒マルチ+敷き藁。極寒日は不織布でべた掛け。
Q3. 病気が多い
A. 排水不良・過密・窒素過多が三大要因。畝高・適正間隔・控えめ追肥に。
Q4. 収穫後に腐る
A. 不十分な乾燥・高湿保管が原因。2〜3週間のキュアリング徹底、結露回避。
Q5. 連作で失敗
A. ネギ属は3〜4年空ける。前作ネギ・ニラ・タマネギ等も回避。
1ページまとめ(チェックリスト)
- 種球は大きく締まった健康個体を選ぶ
- 地域の適期に植える(覆土3〜5cm/株間15cm)
- 黒マルチ+畝高で失敗を減らす
- 追肥は2回・やり過ぎない
- 抽苔したら芽を摘む(球肥大を優先)
- 収穫の合図は葉6〜7割の黄化
- 日陰で2〜3週間の吊り干しで保存性UP
- 連作は3〜4年空ける
付録:プランター&ペットボトル栽培のポイント
- 容器:深さ25cm以上、幅60cm級プランターに3〜4株が目安
- 土:市販培養土+パーライト1〜2割で通気性UP(古土は連作障害リスク)
- 施肥:元肥は控えめ、液肥は薄めを月2回まで
- 水やり:過湿厳禁。表土が乾いてから鉢底から流れるまで
- ペットボトル水耕:冬場の根温低下に注意。遮光・通気・養液管理ができる上級者向け
この記事は実地手順を優先してまとめています。地域の気象条件や土壌に合わせて微調整してください。