こんにちは。ほんのダイアリー管理人の本野まおです。

私、野菜を出荷する上で非常に気になることがあったので、今回はそこに焦点をあててみました。
野菜を直売所やスーパーの産直コーナーに出している人にとって、「ナフサ不足」は遠い世界の話に聞こえるかもしれません。私もピンときてませんでした。
でも実は、ナスやピーマン、葉物野菜を詰めるポリ袋・ボードン袋、乾燥野菜用のバリア袋、農業用マルチやハウスビニール。これらはすべて、ナフサを原料とするプラスチック製品です。
畑で野菜が育っていても、袋がなければ出荷できません。シールが貼れなければ、スーパーで受け付けてもらえないこともあります。
この記事では、「ナフサって何?」というところから、出荷者が今何を準備すればいいかまでを、できるだけわかりやすくまとめます。
ナフサとは何か、なぜ野菜袋に関係するのか
ナフサとは、原油を精製するときに作られる石油製品の一つです。ガソリンや灯油と同じように原油から取り出されますが、ナフサはプラスチックの原料として使われるのが特徴です。
ナフサは工場で高温分解されてエチレンやプロピレンという化学品に変わります。それが樹脂になり、最終的にポリ袋・ボードン袋・トレイ・ラップになります。
野菜出荷でよく使うポリ袋は、おもにポリエチレン系の素材。ボードン袋(曇りにくい透明袋)には、OPPと呼ばれるポリプロピレン系のフィルムが使われます。つまり、ナフサの供給が不安定になると、これらの袋の価格や在庫に直接影響が出ます。
2026年に何が起きているのか:現状を整理する
ホルムズ海峡の封鎖でナフサ調達が急変した
2026年2月、中東情勢の緊迫化によりホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、日本のナフサ調達が急激に滞りました。日本は中東からナフサの約4割を調達しており、これが止まったことで石油化学業界全体に大きな影響が出ています。 Cloudcircus
アジア全体の輸入量に相当する月間約3,500万バレルのナフサが中東から届きにくい状態が続いており、アジア各国が同じ代替調達先を奪い合う構図になっています。 H-bid
国内のエチレンプラントが大幅減産
国内に12基存在するエチレンプラントのうち、2026年4月初旬時点で6基が減産体制にあり、フル稼働を維持できているのは3基という状況になっています。 H-bid
それを受け、JETROのデータによると2026年3月の生産量はエチレンが前年同月比39%減、低密度ポリエチレンが41%減、高密度ポリエチレンが62%減、ポリプロピレンが28%減でした。
政府と業界は代替調達を進めている
経済産業省の対策では、川下在庫の活用(約2カ月分)と、中東以外からの輸入・国内精製(約2カ月分)で、化学品全体の国内需要4カ月分を維持するとしています。米国や南米からのナフサ船が実際に届き始めており、完全な供給ストップは回避されつつあります。 内閣官房
ただし、代替調達には大きなコスト増が伴います。アフリカ南端の喜望峰ルートを経由する場合、輸送日数は通常より14日増加し、燃料コストは1.5倍に跳ね上がります。 H-bid
包装資材の値上げはすでに始まっている
ポリ袋大手の日本サニパックは、ポリエチレン製品全般について2026年5月21日着荷分より価格改定(値上げ)を決定しています。背景は、イラン・中東地域情勢の緊迫化による原油価格・ポリエチレン国際市況の急騰と、海上輸送リスクの高まりによる海上運賃・戦争保険料の急騰です。 PR TIMES
中小食品メーカーからは「PPやPEなど原料の包材メーカーから猶予期間なしの大幅な値上げの要請が相次いでいる」との声も出ており、大手メーカーでも業務用食品で生産停止を余儀なくされるケースが出始めています。
袋がすぐになくなるわけではないが、値上げ・納期遅れ・一部サイズの欠品はすでに始まっている。小規模出荷者ほど情報が遅れやすく、必要なときに手に入らないリスクがある。と考えてよいと思います。
現に、私の家の近くのナフコでは、OPP袋もほぼ品切れ、ペンキ関係、塗料関係、板金などに使うものがごそっと無くなっていたからです。いつ入るかは分からない。
野菜出荷で影響が出やすい資材
ナフサ不足の影響を受けやすい資材を、優先度別にまとめてみると
影響度の高いものは ボードン袋・OPP袋、ポリ袋、規格袋、農業用マルチ、ハウスビニールなどがあげられます。 理由としては袋系はポリプロピレン系フィルムが主原料、マルチやハウスビニールはポリエチレン系樹脂が主原料、プラスチックフィルムを多く使う素材だからです。
ほかにも、サランラップなどのラップ系、食品トレイ、バーコードシールなど野菜を出荷する上で必要な資材が店頭から姿を消しつつあります。
特に注意したいのが、ボードン袋です。直売所や産直コーナーでよく使われる曇りにくい透明袋で、ナス・ピーマン・葉物野菜など多くの野菜に使われます。中身がきれいに見えることが売れ行きに関係するため、代替品をいきなり探すのが難しい資材です。
また、乾燥野菜や乾燥しいたけを販売している人は、バリア袋・シーラー用袋・乾燥剤も確認しておく必要があります。
袋がないと、出荷そのものが止まる
あまり、ピンときていない人もいるかもしれませんが、ここで大事な視点を一つ。
野菜販売では、袋はただの消耗品ではなく、商品を成立させる道具です。
- 袋が50枚しかなければ、100袋分の野菜があっても50袋しか出せない
- 袋のサイズが変わると、シールの貼りやすさや食品表示の位置も変わる
- スーパーの産直では、バーコード・価格シール・食品表示の位置が指定されていることが多い
つまり、袋・シール・トレイ・ラベルがすべてそろって、初めて商品として出荷できます。「袋代が上がるだけ」の話ではなく、「出荷作業全体が止まるリスク」として考える必要があります。
小規模出荷者が今すべきこと
ステップ1 今使っている資材を書き出す。
慌てて買いに行く前に、自分の出荷に何が必要かを整理しましょう。
- 使っているボードン袋のサイズ
- ポリ袋・OPP袋の種類
- 1カ月に使う枚数
- 表示シール・バーコードの種類
- 乾燥野菜用袋・乾燥剤の有無
ステップ2:1〜3カ月分を目安に確保する
一般的に3カ月分の在庫目安を推奨しているケースが多いですが、保管場所や資金の都合もあります。
- 毎週100袋出すなら、1カ月分=400枚、3カ月分=1,200枚
- よく使う主要サイズは厚めに
- たまにしか使わない特殊サイズは必要最低限に
袋は高温多湿の場所に保管すると変形・劣化します。保管場所も確認しておきましょう。
ステップ3:代替案を決めておく
いつもの袋が欠品したときのために、代替案を考えておくと安心です。
たとえばナスなら:
- 3本入りから2本入りに変える
- 少し大きめの袋でまとめる
- トレイなしの袋詰めに変える
- 規格外は乾燥ナスに加工する
出荷先(直売所・スーパー)に「袋のサイズ変更はOKか」「トレイなし包装でもよいか」を事前に確認しておくとよいです。
ステップ4:袋代が上がったら販売価格も見直す
2026年5月1日出荷分を境に、包装資材では30社を超える一斉値上げが実施されています。改定幅はフィルム類で25〜35%という水準になっています。 Plastic-pallet
1袋あたり数円の値上げでも、年間を通じると利益に積み重なります。
- ナス3本150円 → 160円に
- 2本入りで110円に
- 大袋まとめ売りを増やす
- 乾燥野菜など単価の高い商品に移行する
資材費が上がっているのに野菜の価格だけ据え置くと、作業量は同じなのに手元に残るお金が減ります。出荷コスト全体を見直すタイミングとして捉えましょう。
消費者・家庭の人は大量買いだめ不要
消費者の方がラップやごみ袋、保存袋を大量に買い占める必要は、現時点ではありません。
政府は備蓄放出や代替調達により供給維持に取り組んでいます。必要以上の買いだめはかえって品薄・値上げを招きます。
家庭での備えは「1〜2カ月分の余裕を持つ」程度で十分です。ごみ袋・食品保存袋・ラップなどを使いながら補充する「ローリングストック」が基本です。
今後の見通し:いつまで続くか
経済産業省の試算では、代替調達率50%を前提として、約230日分(2026年末まで)の供給を確保できるとしています。ただし、これは推計値であり、中東情勢がさらに悪化した場合はこの限りではありません。 H-bid
業界では米国・豪州・アルジェリアなどからの代替調達が進んでいますが、輸送コストの高止まりは続く見込みです。つまり、「袋がなくなる」よりも「高いまま続く」状況がしばらく続く可能性が高いです。
チェックリスト:出荷者が今すぐ確認すること
資材の確認
- いつも使うボードン袋のサイズと在庫を確認する
- 1カ月に使う枚数を計算する
- 3カ月分を目安に足りるか確認する
- 代わりに使える袋を探しておく
- 乾燥野菜用の袋・乾燥剤・シールも確認する
出荷先への確認
- 袋のサイズ変更が可能か聞く
- トレイなし包装でもよいか確認する
- 表示シール・バーコードの位置ルールを確認する
価格の見直し
- 袋代・シール代がいくら上がったか確認する
- 1袋あたりの資材費を計算する
- 販売価格を見直す必要があるか検討する
まとめ
ナフサ不足は、石油化学の専門的な話に見えます。でも直売所や産直に野菜を出している人にとっては、ボードン袋・ポリ袋・トレイ・ラップ・シールという毎日使う資材の問題です。
今すぐすべての袋がなくなるわけではありません。でも、値上げと納期遅れはすでに始まっています。
小規模出荷者がやることはシンプルです。
- よく使う袋のサイズと枚数を把握する
- 1〜3カ月分を目安に在庫を持つ
- 代替できる袋や売り方を考えておく
- 資材費が上がったら販売価格も見直す
ナス・ピーマン・ししとう・葉物野菜・乾燥野菜・乾燥しいたけなどを出している人は、今のうちに在庫を確認しておきましょう。それだけで、出荷シーズンの不安はかなり減らせます。
私も考えねば…去年は無くなりそうな時に100枚入りを2袋購入してましたが、今の状況は厳しすぎる
参考情報源
- 経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保」
- 石油化学工業協会 生産実績データ
- JETRO 産業・エネルギー統計
- 日本サニパック 価格改定プレスリリース(2026年3月)
Sonnet 4.6
